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(企画戦略マネージャー 中村安里)●③MAP カウンティ・ライン・ヴィンヤーズ[ソノマ・カウンティ、ルシアン・リヴァー・ヴァレー]④②●①MAP 〉〉〉〉〉〉〉〉③●●0〉〉〉〉〉〉①〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉●④MAP ヘンドリー・ランチ・ワインズ●②MAP 冷涼ナパのミネラリーな赤マッケンジー=ミューラーヴィンヤーズ&ワイナリー[ナパ・ヴァレー]トラクターでブドウを引き取りに2代目 サマンサ・ミューラーローヌ系3品種をブレンド。蜂蜜や花梨のリッチな風味を酸が引き締め、ミネラリーでドライな余韻。その複雑な味わいから「エニグマ(謎)」と命名。 90pts The Wine Enthusiastサンフランシスコ・・・・・・メンドシノ・カウンティ、アンダーソン・ヴァレーサクラメント100km卵型コンクリート槽も収穫祭仕様各区画の収穫日を記入した地図カベルネと並ぶヘンドリーのフラグシップ。1975年と1995年植樹の2区画のブドウから。香り高く、活力のあるフルボディ。一貫した酸が全体を引き締め、余韻に続く。93pts James Sucklingジョージ・ヘンドリーとシエラネバダ山脈テール・ルージュエニグマ 2015産地:カリフォルニア州シエラ・フットヒルズ品種:マルサンヌ62%/ヴィオニエ25%/ルーサンヌ13%  Alc.14.5%希望小売価格  ¥5,500ヘンドリー ジンファンデルブロック 7&22 2019産地:カリフォルニア州ナパ・ヴァレー品種:ジンファンデル100%Alc.15.9%希望小売価格  ¥8,000Village Cellars Wine Catalogue 2024Spring2023年11月、カリフォルニア州にテール・ルージュ&イーストン・ワインズ、マッケンジーミューラー、ラジオ=コトー、へンドリー・ランチ・ワインズを訪ねてきました。世界中が猛暑だったにも関わらず、カリフォルニアは涼しい天候が長く続き、素晴らしい年となった2023年。カリフォルニア全土で収穫が平年より2週間以上遅れ、ヴィンテージの終盤と収穫祭が重なるという大変忙しい時期の訪問となりました。それでも嫌な顔一つせず受け入れてくれる皆の姿は、まさにアメリカン・ホスピタリティー! 各ワイナリーの近況を紹介します。[アマドール・カウンティ][ナパ・ヴァレー]CODE12806 携帯電話の電波はとうに届かず、シエラ・フットヒルズのうねる山道を走り続けて辿り着くテール・ルージュ&イーストン・ワインズ。オーナー醸造家のビル・イーストンに会う。70年代からワイン産業に携わり、80年代半ばから醸造の世界に。ヨーロッパワインに馴染みが深いビルは、ローヌ品種をこの地の特徴である”テール・ルージュ(赤土、の意味)”の名を冠したラベルで、その他の品種は彼の姓“イーストン”の名でリリースしている。日本ではローヌ赤の印象が強かったテール・ルージュだが、ヴィオニエやルーサンヌなど白も試飲し、フルーツのピュアさと味の深さ、そして何となく懐かしい優しさと柔らかさが印象的だった。 ビルは、自社畑だけでなく買いブドウからもワインを仕込んでいる。栽培農家からブドウを入手する様子を目の当たりすることができた。長期契約を交わしている農家に自らトラクターでブドウを取りに行く途中、別の畑のオーナーに声をかけられ、そちらもチェックすることに。頭の中にある醸造計画と照らし合わせ、その場で交渉する。自社畑も含め、ブドウの供給状況にその都度柔軟に対応することで、定番ワインとそのときの興味に任せ造るワインを造り分けているようだ。プロの仕事の中にいかに「遊び心」を盛り込み、両立しているのかが伝わる貴重な体験だった。 ナパAVAでも南部のカーネロスAVAとオークノルAVA。ナパは南の海側に行くほど概して涼しくなり、このあたりではピノ・ノワールからカベルネまで幅広い赤品種が育つ。ワイナリーで迎えてくれたのは、父親から引き継ぎ2代目となったCEOサマンサ・ミューラー。ワインクラブを担当し、プロのジャズミュージシャンでもある夫のマックス・ボニックも一緒。日本でも多くの方に愛される「ナパ・ジャズ」ラベルのインスピレーションのもととなっているマックスだが、実はラベルに描かれているサクソフォンの奏者ではなくピアニストだそう。 マッケンジー=ミューラーはナパの有名どころからヘリテージ・クローンの株を分けてもらい1978年からヴィンヤードを、1989年からワイナリーを営んでいる。今回の訪問では赤の単一品種ワインを色々試飲。カベルネ・フランは以前から取り扱っているが、プティ・ヴェルドとメルロを単一で飲んだのは今回が初めて。どれも凝縮感とミネラル感に感動、今後仕入れる予定。映画「サイドウェイズ」がきっかけとなりメルロの人気が急落したのが、約20年前。アメリカではその人気が持ち直してきているとのこと。日本もそれに続くことを願うばかり。 太平洋沿いのソノマ・カウンティにワイナリーとヴィンヤード、隣のメンドシノ・カウンティにも畑を持つラジオ=コトー。オーナー兼グローワー兼ワインメーカーのエリック・サスマンはコーネル大学時代、農業を学んだことでブドウ栽培に興味を持ち、ワインの世界にのめり込んだそう。有機栽培やバイオダイナミックの認証を受けている畑の果実に可能な限り手を加えず、テロワールを綺麗に表現するワインで名高い。といっても豪華なセラードアがあるわけではないし、技術の最先端を行くワイナリーがあるわけでもない。地図を頼りに着いた先にはスタイリッシュでこそあるものの、素朴な看板がかかっているだけのごくシンプルなワイナリー。 普段は一般公開していないが、今回はクラブメンバーのための収穫祭イベントにお邪魔させてもらった。3つに分かれたティスティングブースではパートナーラベルのカウンティ・ライン、ラジオ=コトーが力を入れているリースリングとシラー(いずれも未輸入)、そして彼らの王道ともいえるシャルドネとピノ・ノワールをバックヴィンテージも含め楽しんだ。自社畑のリンゴで造るシードルもなかなか美味しい。グローワー精神が伝わる気取らない収穫祭に参加でき、ラジオ=コトーのよさがさらに実感できた。 へンドリー家がナパ市の北西、マウント・ヴィーダーとマヤカマス山脈に囲まれた土地を購入したのは1939年のこと。1960年頃まではブドウの販売価格が低く主に他の農産物でやり繰りしていたが、1970年代半ばからランチ(農場)の大半をヴィンヤードに転換した。転換後、ロバート・モンダヴィに売った果実がオーパス・ワンに使われるなど、高品質な果実の生産者として着実に名前を広げていった。その改革を行ったのが、当時サイクロトロンの技術者として成功していた長男のジョージ・ヘンドリー。もう80代半ばになるが、訪問時には元気な様子が伺え、以前来日した時の楽しい思い出を語ってくれた。 4生産者とも小規模なブティックワイナリーで米国内を主な市場としているが、自分のワインが日本でも受け入れられていることを素直に喜んでくれる大らかさが印象的だった。CODE12387ワイン詳細は、www.village-cellars.co.jpをご参照ください。 山間のニュー・ローヌテール・ルージュ&イーストン・ワインズ ワインは農業!グローワー精神伝わる収穫祭ジョージ・ヘンドリー健在!カリフォルニア 4生産者を訪問してきました産地訪問記ラジオ=コトー&-9-

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