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●◎●◆ 単一畑「シャォン・ドス・エレミタス(Chão dos Eremitas)」の表現◆ フィタプレタにとっての進化リスボン◎人気のオレンジワインが、今リリースよりノン・ヴィンテージに。フィタプレタの白は全て全房圧搾だが、アソーレスの手法を取り入れ、圧搾後に残る果皮比率の高い果汁をさらに7日間果皮浸漬し、自然発酵。年による熟度の違いに起因するムラを整えるため他ヴィンテージを15%以上ブレンド可能とすることを目的にNVとした。旨み、複雑味が相乗した奥行きある味わい。ワイン詳細は、www.village-cellars.co.jpをご参照ください。 2023Winter Village Cellars Wine Catalogueフィタプレタ ア・ラランジャ・メカニカ NVフィタプレタ オス・パウリスタス 2020アレンテージョ地方アソーレス諸島できていると思います。ブドウの酵素の特性を利用し、発酵が終わるまで亜硫酸を使わないことで納得のいくワインが造れるようになりました。 アレンテージョには量産ワインのイメージがあるかもしれませんが、歴史を遡ると必ずしもそうではありません。中世にはフランスの商人が高級ワインを買いに来ていた記録があり、産業革命以降の万国博覧会ではアレンテージョワインが受賞しています。元々はライトボディのエレガントな赤ワインが主流でした。1970年代にEU(当時のEC)に加盟し、域内輸出のために当時のニーズに応じて濃厚な色調の完熟スタイルで造ったことがこうした印象に繋がったのです。 今土着品種の復活に力を入れていますが、そこにたどり着くには幾つかの難問があり、そのうちの一つがコレクティヴ・メモリーとのバランスです。ワインの例ではありませんが、かつて手編みの絨毯で有名だった町の工芸を復活させようと、古い絨毯を色素分析して当時の染料の色を再現したところ、地元の人はすでに色褪せたものしか見たことがなかったため「これは私たちの工芸ではない」と言った、といいます。ワインの世界でも同じような壁にぶつかる時があります。例えばティンタ・カルヴァーリャは、ブレンド比率が高いとワインの色が薄くなり、それが理由でアレンテージョDOCとして認められません。この地方のブドウは元々軽やかなものが多かったのに、です。このような誤解を解いて、歴史ある品種を守っていきたいです。―― シャォン・ドス・エレミタスは1969-70年にかけて植えられた畑で、2018年に取得しました。全33haのうち2/3は私たち、残り1/3はこの畑を植えた人の子孫の所有です。一部の白品種の混植を除いて、希少な土着品種が品種別に畝に植えられています。混植部分も品種こそ混ざっていますが、整然と一列に植えられているフィールド・ブレンドです。どの樹も太い曲がりくねった幹を持ち、美しい盆栽のようです。 シャォンは平地、エレミタスは修道士たちを意味する名前で、かつて聖パウロ修道会の修道士によるブドウ畑があった場所です。少なくとも10-11世紀頃から、このあたりで長い間ブドウが栽培されていたことは分かっています。紀元前8世紀頃のものと思われる白ブドウの種が入ったフェニキアのアンフォラも発掘されています。だからといって、その時代に必ずしもここでワインが造られていたとは限りませんが、少なくとも良質なワインがこの地域にも届いていたことを意味します。 内陸の低地で良質ワインが造られていたことは知られています。1397年には法王サン・ミゲル島リスボンポルトガルセラ・ドッサ山脈エヴォラ産地:ポルトガル、アレンテジャーノ IGP  Alc.11.4%品種:アリント/ロウペイロ/ヴェルデーリョ/アンタォン・ヴァス/   アリカンテ・ブランコ/タマレス/フェルナォン・ピレス希望小売価格 ¥4,800MAP● 14世紀の古城パソ・ド・モルガド・デ・オリヴェイラを2016年に購入し、リノベーションしながらイベントなどに活用。隣がワイナリー(外壁はコルク)。トリンカデイラ・ラス・プラタス(シャォン・ドス・エレミタス)MAP ●シャォン・ドス・エレミタスの畑モレート(シャォン・ドス・エレミタス)CODE12733中世にこの地でワイン造っていた聖パウロ修道会の隠者修道士(=パウリスタス)に思いを馳せて造られる土着5品種のブレンド。主体となるティンタ・カルヴァーリャの果実は色素が薄いため45日間前後をかけて色素を抽出。品種毎に自然発酵させ、年により比率を調整、最も美味しいブレンドに仕上げる。凝縮した繊細な赤い果実がエレガント。の勅令で、ここのブドウ畑には税金ががかかりませんでした。残念ながら税金免除は今ではありません。 この場所は、ブドウ栽培に理想的な条件を備えています。当初、アレンテージョでワインを造りだした時は、暑くて乾燥した土地ですから灌漑された畑のブドウを使っていたので、樹勢を抑え、ワインの色も濃くならないよう、苦心していました。しかしシャォン・ドス・エレミタスは、以前から全く灌漑されていない畑です。標高650mのセラ・ドッサ山脈のすそ野、標高250-260mにあり、山から流れ込む2つの水脈が畑の地下を流れていて、その水面は地下5-7mと浅いところにあります。そのため、低地と比べて2倍の水量がもたらされます。 また、この畑は土壌も非常に恵まれています。セラ・ドッサの山の北斜面はアルカリ性のシスト土壌、畑がある南側一帯は酸性の花崗岩ですが、ここは川が運んできた沖積土壌でアルカリ性の石灰岩が多く含まれるため、中性に近いpH7.2-7.4で、植物栽培に適しているのです。 畑を取得してからまだ日が浅いので、ここから学ぶことはまだまだあります。アリカンテ・ブランコやティンタ・カルヴァーリャを単一品種で造っている生産者は自分たちだけですが、味も香りも忘れ去られてしまった希少な土着品種は、まずは単一品種としての特徴を学ぶところから始まります。果実の特徴を最大限活かすため、収穫のペストなタイミングや醸造方法を研究し、そして学んだことを次のヴィンテージに反映し見直します。同時に、他の品種との混醸、ブレンドなども試みています。シャォン・ドス・エレミタスからのワインの初リリースは2018年ですが、ヴィンテージを重ねながら、この畑の可能性を探っています。―― フィタプレタのワインは独自のスタイルに囚われることなく、市場に合わせ、常に進化の過程にあります。私にとっては、何世代にも亘って人々に記憶され、今日まで続いている文化―つまり伝統は、科学と同じように大切で強力なものです。科学はまた違う側面を照らしますが、文化的な伝統と科学は互いに否定しあうものではなく、共存できると思っています。その土地で何世代もに亘って人々の間で培われてきた伝統と歴史、科学を融合し、そのテロワールを最高に表現できるワインを造っていきたいと思っています。単一畑シャォン・ドス・エレミタスよりCODE12735産地:ポルトガル、アレンテージョDOC  Alc.13.8%品種:ティンタ・カルヴァーリャ/ カステラォン/    モレート/ アルフロシェイロ/ トリンカデイラ希望小売価格¥15,800-7-

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